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パルバティ・バウル来日公演ツアー2018「バウルの響き」無事に全日程終了し、パルバティ・バウルと旦那さまのラヴィさんは11日、日本を発って行かれました。関わってくださった全ての方に、感謝申し上げます。

初日の6月2日見樹院は、バウルの話とコンサートという構成。ご本人は当初「1時間半も何を喋るんだ」とおっしゃっていましたが、蓋を開けてみれば間断なく話し続け、少し時間オーバー。初日のコンサート、観客の皆さまの暖かさと反応の良さを、驚きと共に喜ばれていました。建物を流れる空気の清らかさにパルバティ・バウルも非常に居心地が良かったようです。共催させていただきましたご住職の大河内さんを始めとする見樹院スタッフの皆さまには大変お世話になりました。

休む間もなく、翌日3日は京都・紫明会館。普通、連日のコンサートはされないのですが、今回は滞在期間の制限もあり、京都で開催することなどを優先した結果、特別に連日の公演となりました。実行委員会が関東を拠点にしている中での主催公演でしたので集客に不安もありましたが、満員御礼、キャンセル待ちリストも伸びるばかり(当日は設営の工夫で当日券を出す)という結果に。この日もとても暖かい反応をいただきました。

5日(火)は郡上八幡公演。クラウドファンディングでご支援を募って製作した本とCDを土取利之さんの立光学舎にお贈りしたことから繋がったご縁です。開催を決意し、招聘してくださった郡上八幡音楽祭実行委員会の井上博斗さんの尽力なしには実現しませんでした。郡上八幡という緑深い山々に囲まれた、修行の伝統ある美しい土地の、一番大きなお寺安養寺で200名を集める大きな公演になりました。土取利之さんとのマジカルな共演のライブ録音CDの製作、櫻子さんのドキュメンタリー製作クラウドファンディングのストレッチゴールに設定されていたのですが、このたび到達しましたので、製作が決定いたしました。

6日(水)は浜松の楽器博物館での公演。こちらも連日となりましたが、「土取利之さんとのご縁であればぜひ」と前日の公演をパルバティさんが快諾されたことによります。実際は、環境の良い郡上八幡での滞在・公演と、世界中の楽器が1500点余りも所蔵・展示されたスペシャルな場所である浜松市楽器博物館での公演は、ツアー全体のハイライトになったように思います。「話にしか聞いたことが無かった古い形のヴィーナーがある」と感動されていました。150名の観客の皆さまに見守られての、楽器に関わるうたを中心にしたコンサートでした。

翌日7日(木)は足柄の常実坊という山中、森と滝に囲まれた修験の地に一晩滞在。13年前来日されて以来の旧交を温められ、力強い滝に触れ、パルバティ・バウル、ラヴィさん共に心安らいだようです。堀端俊英師の暖かいおもてなし、実行委員会までお世話していただきまして、まことにありがとうございました。

8日(金)は東京に戻り、一休みした後、吉田版画アカデミーを見学。吉田先生、沼辺先生は素晴らしい摺りの技術、道具やそれを支える様々な知識を伝えてくださいました。パルバティさん、「すぐには消化できないけれど、ゆっくり堆積させて、いつか自分の作品に反映したい」とのこと。

9日(土)は武蔵野市民会館公演。420人が入るホールは早々に完売となりました。会場の作りだけでなく、音響や照明スタッフの皆さまの技量の確かさにより、パルバティ・バウルもより深く入り込んで歌い踊られたようで、終演後に開催したサイン会が始まってからも「まだ戻って来られない」としきりにおっしゃっていました。年々、公演が終わってから日常のモードに戻って来られるまでの時間が長くなっているとのことで、今回はサイン会が実現しましたが、もしかしたら次回があったとしても難しいかもしれません。その意味でも貴重な会となりました。主催を決めて下さった担当の池口さん、本当にありがとうございました。

10日(日)は最終日、池上・本妙院での公演。外はあいにくの雨。午前中はワークショップ、夕方にコンサートという構成。3時間という、パルバティ・バウルのワークショップとしては非常に短い時間の中でしたが、1つのうたを習い、声とそして身体の使い方から足捌きを学び、最終的に歌い踊るというところまで持っていくという、濃密な3時間(とんで半)になりました。マサラワーラーによるミールスの昼食の後、お寺で休憩されたワークショップ参加者の皆さまは、死屍累々の体でお休みになられていました。夕方、仏教歌「チャリャー・ギーティ」公演。仏様や日蓮上人の像の前、黄金の天蓋の下での歌舞です。

全公演満員御礼、キャンセル待ちも当日まで問い合わせが止まらないという、嬉しいやら申し訳ないやらありがたいやらの、公演ツアーとしては大成功になったと言ってよいかと思います。

どの公演でも、「ポカーン」とした様子から、徐々に渦に巻き込まれるように深く深く引き込まれて行く客席の様子が、ステージからもよく感じられました。

私にとっては、あまり予期していなかったことでしたが、全公演コルタルで伴奏させていただき、時には歌わせていただました。パルバティ・バウルの、「ただ、一人のアーティストが来たということではなくて、バウルの伝統が今も伝えられ、生きていること。そして自分と同じ国の人間が取り組んでいるということを通して、自分にも関わりあることだと感じてほしい」という意向によるものです。毎回、直前までどうなるかが分からないので、妹のアルピタと二人、「今日は、歌うのかどうか…」と割と戦々恐々としながら様子を伺っていました(とはいえそれも、いつものことと言えば、いつものことです)。当たり前ながら、師匠のステージに参加するという恐縮な機会は、様々な学びをもたらしました。

学びといえば、通訳することを通して、私自身、よりパルバティ・バウルの言葉を噛み締める機会をいただきました。

ここ1年あまり、この公演ツアー準備こそを修行だと決めて取り組んできました。師匠を日本に招聘してツアーを行う…などということは、実のところ、できるとは夢にも思っていなかったのですが、その機会が訪れた時、私は弟子の義務と奉仕として、その手を取りました。バウルへの恩返しと同時に、きっと響き合える、その響きを待っている人々への贈り物として。外から来た夢を、私自身の夢に溶け合わせ形を整えていくことそのものが、挑戦でした。あまり一般的とされる感性や感覚を持っていないから、理解することやされること自体が酷暑の終わらない訓練のようでしたし、どこまで何を主張するべきか、本当に分からなかった。必要性から呑んだ毒もたくさんあり、そのいくつかは今も、私の中で黄金に変わる時を待っています。

感謝を捧げる相手は山のようにいらっしゃいますが、やはりまずは実行委員会のお二人に。パルバティ・バウルの25年来の親友・阿部櫻子さん(余談ですが、25年と主張するパルバティさんと26年と言い続ける櫻子さん、最後まで折り合わなかった…笑)。彼女がいるからこそ実現した来日ツアーだと思っています。私のような若輩者とも対等にお話してくださいました。井生明さん。段取りから何から何まで、彼なしにはまわりませんでした。彼のアートを見る目への信頼から来てくださった方も多いと思います。私の文句やら何やらも明るく流してくださいました。あまりにも無名な私が実行委員長として立った「バウルの響き」ツアー、お二人のどちらがいなくても成立しませんでした。

他にも、当日お手伝いいただいたスタッフの皆さま始め、ご来場の皆さま、それから枚挙にいとまが無い人々のお世話になりました。ここでお名前を列挙することは差し控えますが、深く感謝申し上げます。

弟子は師匠に「感謝」をしてはいけないので、ここでは師や妹の名は挙げません。

今回の「バウルの響き」ツアーは、「私がやりたいこと」というよりは、「〜の夢の実現のために」「弟子としてのバウルへの奉仕として」始めて、取り組んでいったというところがあって、その意味では、最初から最後まで、やっぱり私は下っ端として動いていたなあと思います(昨年のクラウドファンディングを通して製作した本とCDは紛れも無く私自身の夢で、時間も疲れも忘れて取り組めた、理屈なしに幸福なツアーのおこぼれでした)。なので、色々な人が、それぞれに楽しみ、喜んでくださっていることが本当に嬉しくて、ホッとしています。個人的には、ケーララで長い時間を共にしたラヴィさんが日本をとても楽しまれていたことに、本当に救われました。

今回のツアーを通して、私がやりたいこととしてのビジョンが朧げながら見えて来たので、また次があるならば、今度は私自身の夢として実現させることになると思います。その時は理屈もなく妥協もなく、躊躇いも無く寝食忘れて幸せに取り組むことになると思うので、未来にご迷惑おかけすることになる方々には、今から謝りつつ、よろしくお願いいたしますと頭を下げます。

実のところ、達成感のような感慨もそこまで無く、パルバティ・バウルが離日してからただボーッと思考もまとまらず、気がつけばずいぶんと遅い総括となってしまいました。今もこのように文章を打ち込みながら、トンチンカンなことを書いているような気がしてなりません…。

私自身は、これから1〜2ヶ月のお休みをいただきつつ修行に集中した後、また表に出る活動も始める予定です。

随分と長くなってしまいましたが、これで2018年の「バウルの響き」の活動、ひとまず〆たいと思います。

皆さま、本当に、ありがとうございました!

ジョイグル

「バウルの響き」制作実行委員会

委員長 佐藤友美パロミタ

www.tomomiparomita.com